川風便り

キスリングの灯ーその1ー

2020/02/19
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昨年より本州を巡回していた「キスリング展」が、いよいよ今年4月25日から北海道立近代美術館で開催されます。

キスリングは、20世紀初めにパリで活動した”エコール・ド・パリ”の画家たちの中でも、生存中に大きな成功を収めたまれな存在とされています。しかしその人生は二つの世界大戦に翻弄され、故郷とも家族とも引き離される波乱に満ちたものでした。彼が好んで描いた花や女性の絵には、華やかな美しさの陰に、悲しみや憂いが潜んでいる気がします。
さて、そんなキスリングとの再会を心待ちにしている中、先月の終りころ、主催者様より展覧会への協力依頼がありました。会場のショップ販売用グッズを作ってほしいとのことです。

2月初旬、第一回目の打ち合わせ。そこでキャンドル作家の米澤純さんに初めてお会いしました。米澤さんは、僕と同じJUNという名前ですが、女性です。”Jun’s Light”というアトリエを主宰し、小樽を中心に活動されています。米澤さんは、すでに何度も各地の美術館ののグッズ販売に協力しており、今現在も札幌芸術の森の「ミューシャ展」に出品されているとのことです。
過去に制作されたキャンドルの実物をいくつか見せていただきましたが、僕は一目で気に入りました。色と形、質感、触感、香りと揺らぎ、ひとつのキャンドルにすべてを注ぎ込んで人に伝えようとする意志が感じられます。米澤さんが作るキャンドルの繊細さを妨げず、小さな炎の持つ力を何倍にも強調して見せる、そんなグッズができるんじゃないだろうかという期待が大きく膨らみました。
打ち合わせでは、まず先に米澤さんにキスリングをイメージしてキャンドルを試作してもらい、それに合わせて僕がキャンドルホルダーを制作するという手順が決まりました。

10日ほどして届いたキャンドルは、どこか女性的な妖艶さと共に暗い雰囲気も漂うキスリングの絵そのものの雰囲気でした。

その夜、早速火を灯して、ウイスキーのグラス片手に構想を練る。
ワインの方が良かったかも?
自分がこれまで知っていたキスリングのイメージは、余計な先入観として捨て去ろう。
アートは常に新しくなければならないから。
ネットでキスリングを検索、色々新しいことを知った。
新しく知ったキスリングとは何か?
できれば実物の絵を見たい。
こんなことなら岡崎の展覧会を見ておけばよかった。

新たに生まれたイメージが固まり制作の方向性が定まるまで、しばらく時間がかかりそうです。

ー続く

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