川風便り

今、北海道で何が起きているのか?

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2018年9月6日に起きた北海道観測史上最大の地震に続いて、およそ五ヶ月後の今年2月21日21時22分頃、再び同じ震源地で大きな地震が起きました。
その19分後、鳩山由紀夫元首相が、この地震は「CCSによる人災と呼ばざるを得ない」とTwitterに投稿しました。それに対する世間の反応は「何言ってるの?」という疑問から批判、攻撃へと変わり大炎上へと発展しました。翌22日午前5時半には北海道警察が公式HPにて、鳩山氏の投稿をSNS上のデマのひとつとして他の5件と共に公表しています。

鳩山氏の投稿について、最初は僕も「何言ってるの?」と思いました。根拠のない”陰謀説”の一種のように思えたし、投稿のタイミングがあまりに早すぎて、事実関係を確認せず思い込みが先行しているのではないかと思えたからです。しかしそのあとネットで調べてみると、鳩山氏の説はあながち”根拠のない”話ではないことが分かりました。

そもそも”CCS”とは何でしょうか?簡単に言うと「二酸化炭素回収貯留」のことで、「Carbon dioxide Capture and Storage」の略です。ネットにはCCS関連の情報はたくさんあり、事業を推進する経済産業省や環境省の情報だけでも膨大な量です。日本政府には2050年までに年間60億トンの温室効果ガスを削減する義務があり、この事業にかける意気込みは理解できるし、必要な情報公開も数年前から行っています。何より大切なのは、この取り組みは日本だけのものではなく、世界で同時進行しているということです。

日本のCCS事業は、新潟に次いで苫小牧市で着手されていますが、PA(Public Acceptance)活動は2012年より行われており、事業者がそれなりの理解を地元に求め周知に努めてきたことも分かります。しかしそこで公開された情報から抜け落ちていたのは、というより故意に省かれていたのは、この事業が地震を引き起こす可能性があるという事実でした。

2月21日の地震の後、ブログに書こうという目的で、CCSについてずっとネットで情報を探り資料を集めてきましたが、あまりにも膨大な量になり、それを真贋選り分けて論理的に説明しようとすると長大な論文を書かなければならないと気が付きました。頑張って書いたとしても誰がそれを読んでくれるでしょうか?無駄な努力はしない主義、ではないけれど時間的経済的事情により無理です。

しかし、ネットを探っているときに面白い動画を発見しました。その怪しげな体裁から最初は一瞥して放ってありましたが、最近見直してみると、結構良くできているのです。僕が集めた情報と同じものを手際よく並べ、写真や図表を利用し分かりやすく説明しています。内容については賛否両論があるでしょうし、全体に陰謀論に流れる傾向が気になります。動画の最後に出てくるRATP理論に関しては、僕も全く信用していません。
とにかくまずはご覧ください。

僕は自身の人生訓として「常に科学的であれ」という言葉を最初に挙げています。アート作品でさえそういう姿勢で作っています。”科学的”というのは”事実を重んじ論理的に考える”ということです。別の言い方をすれば”真実を追求する”ということで、この点において科学と芸術は共通の目的を持っています。

北海道地震の話に戻りますが、真実はどこにあるのか?現状の情報量ではCCSが原因とは言い切れませんが、絶対に違うと否定するだけの理由もありません。可能性として考慮し、できる限りの調査を続けるというのが科学的態度です。鳩山氏の発言を”非科学的”と批判する向きもありますが、その意味を知ろうともせずに嘲笑しデマと決めつける、そういう態度こそが非科学的で、簡単にデマを信じ込む妄信者となりえるものだと思います。

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