最終日の午前中は、横浜市立大学へ。
しかし、ここでちょっとしたハプニングが・・・。
ステンドグラスの前は、柔らかな光に包まれる憩いの空間であった筈なのに、今ではご覧の通り、左右にロッカーが陣取り、真ん中に大きな鉢植えが鎮座していました。
右側の人影は、唖然とする平山氏。
僕も似たような経験があり、気持ちはよくわかります。
ステンドグラスの前に家具があろうと、植物に遮られようと、そんなことは構わないのです。
毎日そこで暮らす人たちが、そのステンドグラスがあることによって少しでも豊かな気持ちで生活できているかどうか、ということが大事なんだと思います。
ここの様子からは、ステンドグラスを大切にしようという愛情が感じられません。
かつて「愛の反対は憎しみではなく無関心である」とマザー・テレサが言いました。
慈しみ労苦をいとわず育て上げた娘を嫁がせたのに、嫁ぎ先のひどい扱い(無関心)を見せられるのは辛いものです。
せめて重荷をひとつ除いてやろうということで、鉢植えをどけて撮影しました。
気をとり直し、平山氏の工房を見せていただくことになりました。
僕は何度かお邪魔していますが、羨ましいのはこの設備。
自然光を鏡で反射し、テーブルに並べたガラスを透過して見られるようになっています。パリの工芸学校にあったものと同じです。
窓の高さなど置く場所の条件が整わないと設置できないので、僕は仕方なくライトテーブルで代用していますが、でもやはり、季節や天候や時間で刻々と変化する自然光を使って仕事するのが理想です。
午後は旅行最後の見学場所、日本橋三越です。
震災後、ホール天井のステンドグラスが節電のため消灯されていると聞いていたので、僕たちの訪問時の数分間だけ点灯していただけるよう予めお願いしましたところ、快く了承していただけました。
また、三越からのお誘いで6階の三越劇場も見せていただきました。
ここの天井照明として数面のステンドグラスが設置されていることを初めて知りました。
その後古いエレベーターで屋上に上がり、今回の旅行唯一の観光をしました。
はるか彼方に、完成に近づく東京スカイツリーが見えます。